スタディクーポン・イニシアティブ

経済的な理由で塾に通えない高校受験生にスタディクーポンを届ける「スタディクーポン・イニシアティブ」のブログです。

渋谷スタディクーポン進捗状況のご報告(2018年4月~7月)

こんにちは。

スタディクーポン・イニシアティブの今井悠介です。

f:id:studycoupon:20171006174554j:plain

昨年はクラウドファンディングでのご支援、本当にありがとうございました。

2018年4月から渋谷区でスタディクーポン事業を開始してから、早くも5ヶ月が経とうとしています。

皆さんのおかげで、54名の子どもたちにクーポンを届けることができ、既に80%以上の子どもが学習塾等に通い始め、希望の進路に向けて一生懸命学習に励んでいます。

また、79教室の学習塾等にクーポン利用先として参画いただき、子どもたちと大学生ボランティア(ブラザー・シスター)の進路・学習面談も100回近く実施しました。並行して、外部の研究者による事業評価も進めています。

このたびは、支援者の皆さまへ感謝の気持ちを込めて、2018年4月~7月にかけての活動の進捗状況を報告させていただきます。 

 

(1)クーポン提供実績

まずは、クーポン提供実績についてです。

  • 渋谷区内の学校からの案内や渋谷区福祉課の職員(ケースワーカー等)による家庭への情報提供等によって、今回54名の子どもたちにクーポンを届けることができました。対象者への情報提供は、この取り組みを進めていくうえで、課題の一つでしたが、自治体との連携によって、しっかりとクーポンを届けることができました。
  • クーポンを利用することになったご家庭からは、次のような声が届いています。

収入があまりないので、塾に行かせてあげられるか不安でした。本人もあきらめていたと思います。スタディクーポンを利用する事が決まった手紙を見て、ホッとして泣いてしまいました。本当にありがとうございました。○○(子ども)も喜んでいました。全力で受験に向かって取り組もうと思います。

スタディクーポンを頂けて、△△(子ども)はさっそく塾に通い始めてとても喜んでいます。本当にありがたいなあと親子ともども深く感謝しています。頂いたスタディクーポンを大事に使わせていただき、本人が希望している高校に合格を実現させます。本当にありがとうございます。

f:id:studycoupon:20180828225641p:plain

 

(2)クーポン利用実績

次に、実際にクーポンがどれくらい利用されているかをご報告します。

  • 2018年7月末時点でのクーポン利用実績です。利用開始から4ヶ月で、既に8割の子どもがクーポンの利用を開始し、塾等に通って学習に励んでいます。2018年8月の夏期講習から利用開始する予定の子どもたちを合わせると、約9割の子どもたちが希望する塾等とのマッチングが完了しています。なお、子どもによっては、部活動の引退後から利用開始を考えている場合もあります。
  • 未利用者のうち3名は、どこでクーポンを利用するか悩んでおり、事務局や大学生ボランティアが相談に応じています。残りの3名については入院等の個別事情で、現段階で利用の目処が立っていませんが、引き続き、未利用の子どもやご家庭ともコミュニケーションを続けながら、有効にクーポンを使ってもらえるよう、サポートを続けていきます。

f:id:studycoupon:20180830114611p:plain

 

(3)学習塾等の参画状況

この取り組みは地域の学習塾等の教育事業者の協力によって成り立ちます。学習塾等のの参画状況を報告します。

  • 79教室が事業の趣旨に賛同し、スタディクーポン参画事業者に登録しました。登録にあたって、事務局及び渋谷区が審査を実施しています。
  • なお、スタディクーポン参画事業者は、一般公募していますが、「子どもたちからのリクエスト」によって登録する事業者も多くいます。スタディクーポン事業は、子どもからのリクエストに応じて、教育事業者の皆さんに随時登録の依頼をする制度としています。そのため、子どもたちは様々な選択肢の中から自分にあった学習環境を選ぶことができることが、この取り組みの大きな特徴です。
  • なお、登録教室の9割以上が教室型の学習塾ですが、家庭教師や通信・オンライン型の事業者もいます。地域で学習支援を続けている個人塾から大手塾まで、幅広い事業者に参画いただき、子どもたちは思い思いの教室等でクーポンを使っています。

f:id:studycoupon:20180828221851p:plain

 

(4)ブラザー・シスター面談・研修

この取り組みでは、クーポンを利用する生徒と、大学生等のボランティア(ブラザー・シスター)が面談を行っています。次は研修や面談の状況についてご報告します。

  • 2018年3月3日にブラザー・シスター養成研修を開催し、新たに18名の大学生等がブラザー・シスターとして活動を始めました。研修はNPO法人PIECESの皆様に全面的な協力をいただき、医師やソーシャルワーカー等の専門家の方々より、子どもたちと関わるうえでのマインドセット、子どもたちの発達等に関する情報、コミュニケーション等について、実習や講義を通して学びました。
  • その後は、ブラザー・シスターが月に1回の面談を行っており、既に100回近くの面談を実施しています。最近では、進路や学習のことだけでなく、子どもがブラザー・シスターに友人関係の悩みや話すなど、だんだん関係性が深まっています。
  • ブラザー・シスターは2ヶ月に1回、定期研修を受講し、子どもたちとの関係をより良くすることに励むとともに、専門家による助言を受けることで、安心して活動ができる体制を作っています。(2018年5月、2018年8月に定期研修開催 ※台風により7月開催分が8月に延期)

f:id:studycoupon:20180830114722p:plain

 

(5)事業評価

最後に、事業評価についてです。

  • 渋谷スタディクーポン事業は、継続的な事業改善や支援者の皆様への説明責任を果たすために、外部の研究者による評価を受けながら、取り組んでいます。
  • 今回、事業評価を担当いただくのは、東洋大学社会学部社会福祉学科の岩田千亜紀先生です。スタディクーポン・イニシアティブのメンバー、事務局、渋谷区等で議論を重ねて、事業の目標設定を行いました。そのうえで、アンケート調査やインタビュー調査などを実施しています。

f:id:studycoupon:20180830114801p:plain

 

簡単ですが、2018年4月~7月までの進捗報告でした。子どもたちは自分の希望する進路に向けて、着実に前に進んでいます。その真剣な姿からは、私たちメンバーも、パワーをいただいています。

渋谷区での2018年度プロジェクトは2019年3月までです。子どもたちが納得のいく進路に進めるよう、メンバー一同、全力で応援していきます。

また、現在も引き続き全国の自治体からスタディクーポンの制度に関する問い合わせを多数いただいており、これから全国に広がっていく兆しを感じています(佐賀県上峰町では、一足先に政策導入が実現しました)。今後、この取り組みを「政策」として全国の自治体に広げ、教育格差が生まれない社会を作るために、頑張ってまいります。

いつも応援いただいている支援者の皆さまには、改めて感謝いたします。これからも活動を見守ってください。引き続きよろしくお願いいたします。

 

スタディクーポン・イニシアティブ

代表 今井 悠介

© 2017 STUDY COUPON INITIATIVE
Powered by はてなブログ